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板橋な人
大東文化大学中国文学科 山口謡司さん
多彩な才能を発揮し続ける、大山在住の中国文献学の先生
大東文化大学の中国文献学の先生であり、
イラストレーター・書家・作家でもあり、
奥様はフランス人の山口謡司先生にお話をお伺いしました。
山口謡司さん
山口謡司さん


いつも絵を描いていました。


・・・中国文献学に進まれたきっかけは?
家に古い本がたくさんありましたし、謡(うたい)や能をずっとやっていた(やらされていた)からでしょうね?
能と言うのは、和歌とか中国の古典とかの話がいっぱい出てくるので、
そういう下地があったからだと思います。
本当は獣医になりたいと思っていました。
高校も理系なんですけどね。今でも興味がありますよ。
どうしてかって聞かれると、字を書きたかったからかな?

・・・獣医ですか。動物がすきなんですか?
動物と言うより、虫が好きなんですよ。大好きです。
虫本なんか書いたら面白いものが書けそうですよ。
板橋区にホタルの飼育施設があるじゃないですか。
その人に興味があります。 一度お会いしたいですね〜。
こんど一緒に行きましょう。

・・・いいですよ、行きましょうか。先生の子供の頃の話を聞かせてください。

いつも絵を描いていました。
今のタッチと殆ど変わりません。昔から今のような絵を描いていました。
小学校のとき学校の壁とか色々なところに絵を描いたら、
先生にすごく叱れて、母親が学校に呼ばれたんです。
親は日本の学校じゃ合わないと思って、それで転校したんです。

僕は生まれも育ちも 長崎県の佐世保です。
佐世保は米軍キャンプが有り、その中にある学校、アメリカンスクールに通いました。
村上龍は柵の外から中を見ていたけど、僕は柵の中から外を見ていました(笑)

・・・中学生の時も、今のイラストのような絵を描いていたんですか?
描いていましたよ。
同級生なんかその頃の絵を、今でも大事に持っていてくれてますよ。

・・・絵はずーと今でも続いているんですね。
そう、もう止められないです。(笑)

自由です。(笑)


・・・高校時代は、どうだったんですか?
高校からは日本の学校に通いました。獣医になりたかったからです。
絵はもちろんですが、ラグビーもやっていました。
佐世保クラブというチームが有るんですけど、いとこたちが皆そのクラブでラグビーをやっていたので、一緒にやっていました。
高校のラグビー部は、村上龍が夏の合宿に絶えきれずにやめたというクラブです。ご自身の略伝に書いていらっしゃいます。
僕は三年間合宿に耐えました。

・・・先生は、書道の方の腕前もかなりのものとお聞きしましたが。
免許皆伝です。大濤(たいとう)と言う号を師匠からいただきました。
幼稚園の頃から書いていました。
高校のときには人に教えていました。

・・・先生は、学者であり、書家であり、イラストレーターであり、作家であり・・・と、色々な肩書きをお持ちですが、本業は何ですか?学者ですか?
何でしょうね。
本を読んだり、不思議だなと思うようなことを調べたりして、
自分が興味のあることを、とことんやっています。
絵でも、本でも、書きたいものを書きたいですね。

・・・書は今でも書いてるんですか?
頼まれればね、百人一首や論語は鉛筆書きですが、
(小学館刊の「書いて楽しむ小倉百人一首」、「書いて楽しむ論語」、の文章、文字、イラストは全て先生が書いています)
筆では激しい字を書きます。
井上有一という前衛書家のところに何年も通って、いろいろなことを教えていただきました。



彼女は自分の好きな絵を自分の部屋に飾りたいと言って買ってくれたのが、始まりです。


・・・奥様はフランス人だと聞きましたが、出会いのきっかけは?

【大学時代からフランスでの奥様との出会いまで長い長い話が始まりました】

大学時代は、学部の時には殆ど授業に出てなかったんですよ。
どうしてもやりたくて自転車で日本一周したんです。
学校の成績表とかは、親元に送られるじゃないですか、そしたら単位は全然取れてないし、どこに居るのかも分からないし、親は、このままじゃ駄目だから、家 に連れ戻して就職か謡いをやらせようとなったんですよ。
でも、僕がどこにいるのか分からないので捜索願が出たんです。

僕は家には帰りたくないから、大学院に行きますといって、勉強を始めたんですよ。
そのときに出遭った先生が素晴らしい先生で、文献学の方へ進むきっかけを作ってくれました。
昔から家には、古い本があったし、ある程度の下地はあったので。
そうするうちに、だんだん面白くなってのめりこんでいきました。 
大学院の博士課程のとき、縁あってケンブリッジ大学に就職したんです。

その頃、ヨーロッパにある文献の整理の話があり、
どこどこにどんな本があるとかいう目録を作るんですが、
イギリスが終わってベルギー、フランスと行ったのですが、フランスの図書館では1日10冊の本しか貸し出してくれなかったので、仕事が午前中で終わってしまうんですよ、
ここは、フランス(パリ)じゃないですか、午後からは好きな絵を毎日描きました。
画材は安いし・・・

教会の文献を整理していた時、その教会の人が、個展を開いたらどうだいといってくれて、
教会で個展を開くことになったんです。
妻の勤めているところが近くで、たまたま見に来たんです。
彼女のお父さんが絵描きなんだけど、お父さんの絵は余り好きではなかったようです。
彼女は自分の好きな絵を自分の部屋に飾りたいと言って買ってくれたのが、始まりです。
長くなってすみません。(笑い)

好きで描いていた 絵なのに全部売れてしまったんですよ。掛けたらすぐ売れると言う具合でした。


・・・すごいですね!!
乾いていない絵まで全部売れてしまったんですよ。

・・・日本に帰って来られたきっかけは?
今の大学から運よく声をかけてもらって、戻って来ました。

・・・絵がそれほど売れたんなら、フランスに残っても良かったんじゃないですか?
本当だね、 失敗しちゃったかな(笑)

・・・奥さんも一緒に来られたんですよね。
妻は弁護士をやっていたんですが、1、2年したらまた戻ればいいじゃないくらいの軽い気持ちで日本に来たんですが、
そういいながらもう10年です。(笑)
子供が生まれたので、すっかり日本に落ち着きました。

【出逢いから日本での生活などは、先生の著書「妻はパリジェンヌ」を読むと詳しく書いています。】


有機的に人と人とが繋がっていく世界を見て見たいなと思っています。


・・・先生は、大山に住んでいますよね。どうですか?住み心地は・・・

住みやすいし、人はいいし、下町な感じがしていいですよね。
昔のように子どもを、みんな親戚のおじさん、おばさんのように可愛がってくれますね。みなさん、あいさつも気軽にするし。
近所の人は、いい野菜が手に入ったから持って来たとか、魚とかもくれたりします。
ずっと住んでいたいと思っています。

・・・今の関心ごとってありますか?
何でもいいから書きたいですね。
文章でもいいし、絵でもいいし、書でもいいから、何でも書きたいですね。
もう一つ関心をもっているのは、
生活そのものです。生活の知恵というのか?
道具を使い込んでいく、人もそうだし、物が本来もっているものをどうやって引き出せるか、
何のためにその物が有るのか興味があります。
物を大事にすること。
世の中には無駄なものは無いと思うんですよ。
何で無機質な世の中になっていくんでしょうね?
もっと人と人とが有機的に繋がっていればいいなって思います。


・・・今後の夢とかを聞かせてください。

有機的に人と人とが繋がっていく世界を見てみたいなと思っています。
環境やその他の問題が解決できるような気がするんだよね。
物を大事にすることが、人を大事にすることに繋がってくると思うんでその辺の問題に興味があります。
地域や商店街の活性化なんかもそうですよね。

・・・最後に板橋区民に一言お願いします。
板橋とかけて石橋(世界のブリジストン)さんと解く。

・・・????
板橋には小さいけれど面白い企業がいっぱいある。
それらが有機的に繋がれば、世界に通じる強い石の橋(ブリヂストンになれる)になるんじゃないかと思っています。そういう世界を見て見たい気がします。

専門の文献学とはかけ離れた感じですが、通じるものが沢山あるのですよ。


・・・ありがとうございました。




プロフィール

1963年長崎県佐世保市生まれ。
フランス高等研究院大学院博士課程退学
英国ケンブリッジ大学共同研究員
大東文化大学文学部中国文学科准教授
専攻は文献学・書誌学。作家・書家・イラストレーターとしても活躍中

URL:http://abocavo.web.infoseek.co.jp/

【著書】
○「日本語の奇跡」
<アイウエオ>と<いろは>の発明
漢字ル世界食飲見聞録
新潮社 版(新潮新書)
680円(税別) 2007年12月20日発行

○「書いて楽しむ論語」 
書いて楽しむ論語
小学館 版
1,470円(税込) 2007年04月発行
 
○「書いて楽しむ小倉百人一首」 
書いて楽しむ小倉百人一首
小学館 版
1,470円(税込) 2006年10月発行
 
○「感じて!漢詩」 
感じて!漢詩
不空社 版
1,365円(税込) 2005年11月発行 

○「妻はパリジェンヌ」
妻はパリジェンヌ
文藝春秋 版
1,680円(税込) 2005年06月発行

○「漢字ル世界食飲見聞録」

漢字ル世界食飲見聞録
不空社 版
1,470円(税込) 2005年01月発行 








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