○江戸凧とはどのような凧のことを言うのでしょうか?
日本には色々な凧があります。
簡単に言うと、江戸時代からの伝統的な東京の凧を「江戸角凧」を「江戸凧」と呼んでいます。
特徴は、軸には和紙を巻きつけるのと、糸目が14本か17本付いていることです。
津軽凧は3本、糸目の数が多くて長いのが江戸凧の特徴です。
(「糸目」とは凧に付けてある糸のことです。)
大きい凧だと糸目が100メートルくらいの長さがあります。
○素敵な絵ですが、鈴木さんが描いていらっしゃるのですか?
和紙に絵を書くのですが自分で絵も書きます。
大きい凧は和紙の裏に絹を張ります。「江戸凧」は「江戸錦絵凧」とも呼ばれていて、錦絵のような武者絵や歌舞伎絵などの凧絵を書きます。
華やかなのも江戸凧の特徴です。
江戸文字や髭文字だけの粋な字凧などもありますよ。
○玄関にある凧は大きかったですがどれ位の大きさですか?
玄関に飾ってある凧は、高さ2m50cmですが、
この凧が上がったときの壮観さはすごいですよ。この辺が凧師の醍醐味ですね。
凧を作って楽しみ、凧を揚げて楽しむ、これが凧の楽しみ方ですね。
今は、インテリアの一つとして部屋に飾られる方も多いようです。
○かなり大きいのですが作るのに相当な時間がかかったのではないですか?
絵を描くだけで半年かかりました。
なんやかんやで、1年ぐらいかかったかな。
○普通、一つの凧を作るのにどれぐらいの期間がかかりますか?
竹を削ることから始めるので、
竹を削って、絵を描いて、組み立てて・・・・、大体1週間ぐらいかな?
まだ、仕事をやっているので、合間合間に作っているので時間がかかってしまいます。
○凧に尾っぽの付いているのが有りますが江戸凧には付けないのですか?
昔は、縄を編んで尾っぽをつけて揚げたりしていましたが、今はつけないのが普通です。
尾っぽをつけない代わりに、作るのが大変です。
精巧に作らないと真っ直ぐ揚がらないので、1本1本の重さを計りバランスをとらないといけないので大変です。
尾っぽはバランスの役目をしているのですが、それを付けないでも揚がる凧を作る。
凧師の技であり醍醐味です。
自分の作った凧が大空に揚がっていくときは何ともいえない喜びがありますよ。
○凧作りを始められたのはいつごろからですか?
子どもの頃から作っています。
昔の子どもは自分で凧を作っていたんです。大人の凧作りを見て覚えたんです。
小さい子は親に作ってもらっていましたが。
昔は、農家が多かったのですが、高島平の低地は農地で、みんな徳丸や西台の高台に住んでいたんです。
高島平はからっ風が吹き抜けるので凧揚げには都合が良かったですね。
昔は、各農家で凧を作って大人も揚げていました。
その頃は娯楽など遊びが少なかったので、凧揚げは遊びの一つでした。
凧揚げが一番お金がかからなかったしね。(笑い)
○何年ぐらい凧を作り続けているのですか?
76歳になりますから、かれこれ70年ですかね。
伝統を守らないと、日本の文化を残さないといけない。
誰かが残さないといけないんです。そんな想いで作り続けています。
いろんな楽しみや遊びがある今だからこそ、凧揚げの楽しさを伝えたい。
凧揚げの魅力は子供に戻れる楽しさです。
凧が好きなんですね。好きじゃないとやってられません。(笑い)
○これからの夢などありましたらお聞かせください。
後継者が増えて、凧揚げをする場所がとれればいいなと思っています。
場所の確保は年々難しくなっていますが・・・・。
生きている間は頑張って伝承して守っていきたいと思っています。
いま、荒川の河川敷は昔のようにいつでも車が自由に入れなくなったので、
大きな凧を揚げるときは、埼玉県のふじみ野の方まで行っています。
千葉の九十九里にいって揚げたりもします。
現在、「板橋区凧の愛好会」の会長をやらしていただいていますが、
毎年4月の29日には「板橋親子たこあげ大会」があります。
もう20数年続いていますが、板橋区教育委員会の依頼で
「板橋区凧の愛好会」が2000枚の凧を作って皆さんに配っています。
毎年5千人以上の方が参加しています。
大人も子どもに帰って、子どもと一緒になって楽しく凧を揚げている姿は、
こちらもうれしくなります。
凧になじんでいただいて、少しでも凧作りを継承していってもらえればうれしいですね。
○最後に板橋区民の方に一言お願いします。
板橋に生まれ、板橋で育って、板橋で生計を立てているのですが、
緑も多いし、板橋ってすばらしい区だと自負しています。
色々なことで恵まれていると思っているんです。
農家もあるし、緑も多いし、工業も頑張っているし・・・・、
皆さんも自負心を持って、板橋を愛する心をもってもらいたいと思います。
来春、1月2日には荒川の河川敷で「新春凧揚げ大会」がありますので、
皆さん見に来てください。
○ありがとうございました。
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