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板橋な人
小林義隆さん

一つ一つ実現させて行きたいと思います。


面白い、楽しい、もっと出来ないか・・・そんな想いで彫り続け、機械彫刻を芸術の域まで昇華させた小林義隆さん。 その技術が認められて、昨年、板橋区伝統工芸士にも選ばれました。 彫美堂の小林義隆さんにお話を伺いました。
小林義隆さん
小林義隆さん


50年余り経ちますが、ずっと板橋でこの仕事一筋です。

○この世界に入られたきっかけからお願いします。
オリンピックの少し前になります。 あの頃は仕事の無い時代だったんです。
私は山形県の出身で、学校で薬関係を勉強して日本橋の薬問屋で修行をしました。 ところが、薬問屋が火事になってしまいました。

そのころ(20歳頃)、板橋に友だちがいたので、遊びに行ったんです。 その友人がこの仕事をしていたんです。
見てみると、キレイな仕事で面白いし、こんな面白い仕事があるんだとビックリしました。 こんな仕事が有る事すら知らなかったんです。
板橋は光学関係の産業が盛んで、カメラ・双眼鏡など仕事が多かったですね。 面白いし、もともと細かい仕事が好きだったんですね。 あっという間に仕事を憶えてしまいました。
それから、50年余り経ちますが、ずっと板橋でこの仕事一筋です。

○友人がいなければこの世界に入っていなかったんですね。
そういうことになりますかね。

そのうちに、杯に彫ってみないかと誘いがあり、杯に彫るようになりました。 杯に色々な模様や文字を彫る事も知らなかったんです。 こんな仕事もあるんだ、とこれにもビックリしました。
機械彫刻なんですが、原版を作ると後は簡単に彫れるんです。 簡単にといっても2年から3年勉強してやっと彫ることが出来るようになります。 彫る事は出来ても、機械を旨く使いこなせないといい物はできません。
なにより大切なのは、センスです。 センスがないと10年経ってもただ彫るだけしか出来ません。

そうこうしているうちに、注文だけでなく、自分で物を作る事を始めたんです。
今でも続いているんですが、“ななこ”という技法で、私が彫り方を開発したんです。 その頃(30年ほど前)家紋ブームで、大手商社から注文をいただくようになったんです。それが、ヒットしたんです。 当時、8人ほど人がいたんですが、それでも注文をさばききれないほどでした。 メーカーや問屋などからの受注で生産していたもので、自ら営業をしていなかったんです。 そうすると、得意先が年齢とともに辞めていくと、仕事がなくなってしまったんです。 今は1人で気楽にやっています。

○手先が器用なんですね。
器用なだけじゃ駄目なんです。好きでなければ。 今でも面白くてしかたないですよ。 面白いからやってられるんです。
次から次へとにいろいろなことを思いついてしまって、頭の中がゴチャゴチャで分からなくなってきています。 忘れないうちに早く実現していかないといけないのですが・・・・・。(笑い)


細かく繊細に彫れるのは、今は私ぐらいだと思いますよ。

○家紋や杯などのほかにどのような作品がありますか?
落款・ペンダント・イヤリングなど、何にでも彫ります。 球面に彫ることも開発したんですよ。
指輪や楽器(フルート等)などの円筒状のものにも彫ります。 某飲料メーカーのファイヤーの凹凸の炎ですが、原版は私が彫りました。 今現物が無いのですが、ビールメーカーの“立っている麒麟”もそうです。幻の麒麟といわれています。 有名なバイクの鷲のマークですが、これも作ってみたいと考えて、挑戦中です。 ベルトのバックルにするとカッコイイですよね。
細かく繊細に彫れるのは、今は私ぐらいだと思いますよ。

 

○これからの目標や、考えているものはどんなものですか?
江戸時代の刀の鐔(つば)に使われた「京透かし」という技法で飾り物を作ることです。
繊細で優雅で、しだれ桜、桜の花に麻の葉文様などは素敵ですよね。 今、色々な文献などを調べています。 今年中にはまとめてみたいと考えています。 アイデアは色々と浮かんでくるのですが、形にするまでが大変です。 一つ一つ実現させて行きたいと思います。

私の持っている技術を後に継承していかなければならないと思っているのですが、 幸い息子が、他の仕事をしているのですが、覚えてくれると言ってくれるのでとりあえずは安心しています。

○最後に板橋区民にひと言お願いします。
日本の持つ伝統美は素敵です。 板橋にはそういう伝統を継承していく基盤や力があると思っています。 ぜひ、伝統工芸に触れてみてください。

○ありがとうございました。

プロフィール

株式会社 彫美堂
住所:板橋区板橋2-17-6
電話:03-3964-0339
FAX:03-3964-0343
板橋区伝統工芸士


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