徐々に高座や照明、音響設備などが出来ていき、楽屋まで出来上がりました。

○この寄席が生まれたきっかけからお話下さい。
この寄席は、自宅の地下の駐車場の隣にあるもともと倉庫として貸していた場所なんです。
借り手を捜していたのですが、なかなか借り手が無く空いていたんです。
私の娘が趣味で三味線を習っていたのですが、その中の仲間に落語家の古今亭菊龍さんという方がいまして、発表の場がなかなか無いので、じゃーこの場所を使ってもらおうという事がきっかけです。

○何年ぐらい前のことですか？
もう4年程前になります。
何も無い状態から始めたので苦労しました。殆どが手作りなんです。
夫の知り合いに、内装業を営む人がいたので、余った壁紙などを提供していただきました。壁紙を良く見ると柄が違っていたりしていますよ。
最初は畳だけだったのですが、それでは形にならないということで、徐々に高座や照明、音響設備などが出来ていき、楽屋まで出来上がりました。

最初は、菊龍さんの高座だけをやっていたのですが、それだけじゃもったいないねという事で、浪曲の会などもでき、落語会なども増えてきて、今に至っています。
浪曲の会は、30回以上も続けてきたのですが、一時お休みを頂いて、今年の6月から装いも新たに再開しました。

○三凱亭（みよしてい）の名前の由来ですが・・・
初めての方は、読めないと思うんです。
三凱自動車というタイヤ販売店が隣にあります。主人（席亭）の父が名前にこだわりを持っていまして、三凱という屋号にしたようなんです。この寄席のあるビルも三凱ビルですし、その屋号から三凱亭という名前にしました。

ほんの数メートル先の演者を身近に肌で感じることが出来るのが一つの醍醐味ですね。

○本当にこじんまりとした寄席ですが、定員は何人ぐらいですか？
30名から40名ぐらいです。40名になると超満員ですね。
小さいだけに、ほんの数メートル先の演者を身近に肌で感じることが出来るのが一つの醍醐味ですね。
一番前の席なんかは、演者の息づかいまで聞こえてきます。
それと、終演後には、皆で椅子を片付けてテーブルを準備して、仕出し料理とお酒で、会費制ですが、演者の方と一緒に打ち上げも行っています。
これは大きな特徴で、芸人さんとの触れ合いが和気あいあいとした雰囲気で行われます。
芸人さんとの触れ合いはそんなに出来ることがないので、参加していただいた皆さんには好評です。
打ち上げが楽しみで、常連さんになられた方もいらっしゃいます。

○落語や浪曲のほかにはどのような興業を行っているのですか？
講談や漫才、手品、大道芸などのいわゆる大衆芸能といわれているものです。
消防法の関係から、入場料をいただく催しは月に4回ほどしか出来ないのですが、空いている日は、サークルなどの練習の場所や発表会など等で利用していただいています。
通信カラオケも準備していて、3時間歌いたい放題で3,000円です。
メイン通りから1本奥に入った所にあるので、目立たないこともあますが、まだまだ認知されていないのが現状のようです。

○お客様としてはどのような方が多いですか？
平均年齢は40歳ぐらいだと思います。
浪曲は、やはり高齢の方が多いですし、お客様も少ないです。
落語は、お客様が多いですね。20代の方も大勢いらっしゃいますよ。
女性の方が結構多いのには、驚かせられます。
お客様の約半数の方が、交通費を使って遠方から来てくださっています。

生で見る芸は、テレビなどで見たりするのとは全く違いますからね。

○これからの夢や目標などをお聞かせ下さい。
地元の人にもっと来ていただきたいと思い、知り合いの店などにお願いして、チラシを貼らしてもらったりしているのですが・・・。
地域性といいますか？馴染みが薄いのでしょうか？
やはり、多くの地元の人たちに気軽に生の芸を見て聞いていただきたいと思っています。
生で見る芸は、テレビなどで見たりするのとは全く違いますからね。
それと、この寄席で育った噺家さんが人気噺家になることも夢ですね。

○最後に板橋区の方に一言お願いします。
気軽に足を運んでいただいて、一緒に楽しく、笑って、ほっとできる時間を過ごしてみませんか。

○ありがとうございました。