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板橋な人
嶌峰和美さん

妥協してしまうと駄目ですね。いい作品は出来ません。


作品の用途を考え構図から染色・仕上げまで全工程を一人で行う日本刺繍の板橋区伝統工芸師工芸士会副会長、嶌峰和美さんにお話を伺いました。
嶌峰和美さん
嶌峰和美さん


7歳の頃から刺繍を始めたので、来年は寅年で84歳になるので、もう75年ですか・・・

 

○まず最初に、日本刺繍の世界に入られたきっかけからお聞かせ下さい。
父が渋谷で日本刺繍を生業としていたので、自然とその道に入りました。
やりたくて入った道ではないんですね。あたりまえのようにその道に入っていたんです。
7歳の頃から刺繍を始めたので、来年は寅年で84歳になるので、もう75年ですか・・・
長いことやっていますね!
その後、板橋に越してきました。70年ぐらいになります。

父は厳しい人で、びしびしと鍛えられました。
おかげで、20前半で一人立ちできるほどになりました。
30〜40歳代のころが全盛期でしたね。
注文が多く、もう嫌だ!辞めてしまいたい!と思うほどで、徹夜しての作業が続きました。若かったし油が乗っていた時なので出来たんでしょうね。
芸能界や著名な方などからも、指名で仕事をいただいていました。
自分を指名して貰えることに喜びを感じていました。

市販糸の色で駄目な場合は、自分で糸を染めます。

○ 日本刺繍とはどのようなものですか?
絹糸を使って刺していく刺繍のことを日本刺繍と呼んでいます。
着物や帯、日本人形などに刺繍をしていきます。
現在の市販されている着物や帯の刺繍のほとんどは機械刺繍で、手作業による日本刺繍はあまり見られなくなりましたね。

○ 刺繍をするにあたって大切にしている事は、どのようなことでしょうか。
お客様の要望にそって、お客様の身になって考え、刺して行くことです。
お客様から話を聞き、そこからデザインを考え、下絵を描いて、刺していくのですが、市販糸の色で駄目な場合は、自分で糸を染めます。
妥協してしまうと駄目ですね。いい作品は出来ません。
未だに、これはと思った作品はないですがね。

○今の活動状況をお聞かせ下さい。
もう年ですから、お客さまからの注文は殆んど取っていません。
どうしてもとおっしゃるお客様にも、「納期はかかりますよ、それでもいいのなら・・・」
といっています。

○後継者はいらっしゃるのですか?
息子が一人居るのですが、大学を出るともう駄目ですね。
そこから修行を始めても遅いですし、本人も継ぐ気は全くないですし、もう50ですからね。
そういうわけで、私の代で終わりです。

自分の思い描いた作品を楽しみながら刺して行こうと思っています。

○今後の夢などありましたらお願いします。
年には勝てないですね。病がちですし、大きな作品はもう気力が続きません。
少しずつ時間をかけて、小作品ですが刺しています。
自分の思い描いた作品を楽しみながら刺して行こうと思っています。
それが自分の集大成になっていければいいですね。

○最後に、いたばし区民の方へ一言お願いします。
板橋区には、伝統工芸を守っている人たちが大勢います。できれば、そういう人たちの作品に接して、日本の文化を少しでも皆さんに知ってもらえればうれしいですね。

○ありがとうございました。

プロフィール

嶌峰和美さん

板橋区伝統工芸士
住所:板橋区大和町40-3
電話番号:03-3961-8750


 


 

 

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