---この赤塚のため池公園の近くにお店を構えられた、きっかけはなんなのでしょうか?
特に、場所のこだわったという訳ではないのですが、
この赤塚の地は、大変緑が多くて、
環境に恵まれているんです。
春先には、梅や桜がとてもきれいですし、
周りには、美術館、大仏、植物園など、
観光施設にも恵まれています。
春にはうぐいすも鳴くんです。こんないいところで、
のんびりと蕎麦を食べてもらえたら、こんなにいい事はないんじゃないかな?
と。
---開店にあたって、苦労された事や、嬉しかった事などはございますか?
苦労と言う苦労はしませんでした。
蕎麦が好きで始めたので、苦労が無いんです。
ただ、朝が早く、夜が遅いと言う事が、肉体的に少し疲れますね。
毎日、好きな蕎麦を打ち、お客様が必ず、美味しかったと言って帰って下さるので、
苦労といったものが全て喜びに変わって行くんです。
---素敵な内装だな。と、感じたのですが、意図されたものはあるのでしょうか?
都心のそば屋さんは、きつきつですよね。
当店は、ゆったりとした広さで、席数が34席なんです。
最初設計された方が、同じ広さで、55席も設計されたんです。(笑)
それぐらい、都内のそば屋の席の間隔が狭く、
早く食べて、早く帰ってもらおうと言う事ですよね。
この赤塚の場所で、それをしたら、
お客さんが逃げて行かれてしまいますよね。(笑)
反対に、緑を見ながら、ゆっくり食べてもらえるように、
広く席をとりました。
そして、何よりも、私もそうですが、
お年をとられた方が増えていますので、
座敷は避け、全部椅子席にして、
車椅子の方もご利用出来る様に、
段差は避け、トイレもバリアフリーを考えて、お店を作りました。
---ひびき庵さんの客層は主にどのような感じでしょうか?
難しいところですね。(笑)
本当に小さい子どもから、ご年配の方まで、多彩な年齢の方が見えられますよ。
今日のお昼などは、主婦層の方が多かったですね。
皆さん、意外と遠くから来られています。
遠くは市ヶ谷や、北浦和から来て下さるお客さんもいらっしゃいますよ。
後は、会社の接待などにもご利用していただいておりますね。
近隣から見えられる方は、10パーセント程でしょうか?
---お客様からいただく声は、どのようなものが嬉しいですか?
帰りがけに「美味しかったよ」と言っていただけるのが一番ですね。
そのようなお客様が、
また、知り合いのお客様を連れて、
来店して下さるんです。
それが、また次に繋がるんですね。
今年の10月で、まる4年になりますが、
段々と底辺が出来上がって来たな。
と、感じております。でも、何事も10年ですから!
----お蕎麦の難しいところはどこでしょうか?
蕎麦と言う物は、食べた瞬間に、濃く味がするものと、
飲み込んだ後に、ふわっと薫りがただよう、二通りがあるんですね。
私は、後者のそばが好きなので、つゆも、それに合わせております。
蕎麦は強く味を出そうと思えば、出せるのですが、
その内に、味に飽きがくるんですね。
特に夏場は、蕎麦の劣化が早いものですから、粉の管理もしっかりとして、
提供して行きたいと思っております。
---お蕎麦ならではの特徴とはなんでしょうか?
特に手打ち蕎麦は、本当にのびるのが速いんです。
一分でも時間が経ったら、まるっきり食感が違います。
よく、お客さんに、「お箸を持って待ってて下さい」って言うんです。(笑)
そのぐらい、こちらも打ち立てをスピーディーに提供出来るように心がけています。
それぐらい、足が速いものですから、
手打ち蕎麦をやっていて、出前をやっているところって、一軒もないものなんですよ。
---ご主人のゆずれないこだわりというものがございましたら。
その日に打ったものを、その日にお客様に提供する。
残ったものは次の日にまわさない。ですね!
お客様に常にその日のものを提供する。
これは当たり前の事なんですけれども、持続する事は、とても大変なんです。
休日は、朝は五時から店に入り、夜の10時にあがるという生活です。
---ひびき庵さんの、今後の抱負などがございましたらお願いします。
変わらない蕎麦を、10年20年先まで、提供して行きたいという事が願いですね。
そして、当店は、うどんもご提供しているんです。
蕎麦のつゆではなく、別にうどんのつゆを仕込んでいるんです。
出来るものならば、うどんの方で、もう一店舗、店を構えたいな。
という思いもあるんです。
蕎麦は、他の人にはどうしても任せられないのですが、
うどんは、融通が多少は効くところがあるんですね。
---最後に、板橋区民の方にメッセージをお願いします!
つい、先日、北海道の蕎麦粉の産地に行き、さくづけ状況を見て参りました。
今年は、成長がとても順調で、台風などの影響が無ければ、
お彼岸の頃の九月の中旬には、とても良いお蕎麦が出来ます。
是非、皆さんで、食べにいらして下さい!
---ありがとうございます!
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