---ご主人が、和菓子に触れられたのは、お幾つの時からなのでしょう?
それはもう、小学校の時からですね。
実家が和菓子屋なものですから、
産まれた時から和菓子が傍にあり、
手伝いをしていたと言うよりも、
当時の感覚で言うと、手伝いをさせられていたと言う方が、
近いかもしれませんね。
忙しい時は、良く借り出されていましたね。(笑)
---本格的に、和菓子の職人になろうと思ったのは、お幾つの時でしょうか?
大学を出させてもらったんですね。
しかし、就職しようとは思わず、
当然の流れのように、和菓子の職人の世界に入りました。
本当に、自然な流れでしたね。
店を継ぐと言う事が、小さい頃から、当たり前のように自分に刷り込まれていましたので、
いつ、職人になろう!と、自覚したのかも、定かではないんです。
---和菓子屋さんのご長男ならではのエピソードなどがございましたらお願いします。
小さい頃は、友達が家に来ると、よく羨ましがられましたね。(笑)
例えば、遊んでいる時に、お団子が好きなだけ出て来るので、
本当に、たくさんの友達が出入りしていましたね。(笑)
産まれも育ちも板橋なんですね。
小学校は、志村第六小で、中学校は、志村第三中学校なんです。
僕の和菓子友達は、全部、板橋産まれの板橋育ちの方達ばっかりなんです。
---奥州堂様の一押しの商品とは何でしょうか?
板橋のいっぴんにも選ばれた、
豆大福が今の一押しですね!
和菓子って言うのは、原材料が味を半分以上決めてしまうんです。
原材料の仕入れに関しては、問屋さん泣かせですね。
ちょっとでも品質の悪いものを持って来られると、
すぐに返品です。
後は、お餅に関しては、つき加減ですね。
こればかりは、長年の経験と勘がものをいいますので、ちょっと言葉では説明しづらいですね。
---和菓子職人と言うのは、厳しい世界でもあるようですね。
皆さんが、思っていらっしゃる以上に、重労働の世界なんです。
手先を使う、柔らかい仕事な面もあるのですが、
裏では、ハードな世界なんです。餅をついたり、重たいケースを持って何往復もしたり、
砂糖だって、一袋が、重たいものだと30キロぐらいあるんですね。
それを持ち運び出来るのが最低限なんです。なかなかに厳しい世界ですよ。
---ご主人が感じられている、和菓子の面白さとは何でしょうか?
やはり、季節季節で品物が変わって行くので、
季節感が非常にあるお菓子なんですね。
その感覚は、非常に大切にしています。
逆に難しいのは、「お客様の好み」と言うのが、
和菓子の場合、非常に幅広いんですね。
どこに焦点を持って行くかで、
非常に悩んだ時期もありました。
最終的には、自分の好みを押し通す事にしたんですけれども。(笑)
例えば、お団子の硬さに関しても、当店のお餅は、
硬化防止剤を使っていないので、
多少歯応えがあるんですね。それを良しとして下さる、
リピーターの方が、多くいらっしゃる事を、
とても嬉しく感じております。
---客層的には、どのようなお客様が多いのでしょうか?
メインは、やはり、
30代から60代ぐらいまでの女性でしょうか?
後は、社用のビジネスマンさんでしたり。
小さなお子様を連れたお母さんも良く来られますよ。
一番来ないのは、若い男性かな?(笑)
10代、20代前後の男の子が買いに来てくれると、
嬉しくって、おまけしちゃう時もあるんです。(笑)
しかも、近くにコンビニがあるのに、
自分の分だけの和菓子を買いに来て下さると、
ああ、味の違いを分って、
この子は買いに来てくれたんだな!
と、本当に嬉しいですね!
---お客様に言われて、嬉しかった言葉などはございますか?
この近所に住まわれていて、遠くに嫁がれた娘さんなどが、
遠くの実家から、お母さんに、
「奥州堂のお菓子を贈って」と言われて、
買いに来て下さった。と言う言葉などを聞くと、本当に嬉しいですね。
---今後の奥州堂さんの抱負などがございましたらお願いします。
あまり肩肘張らずに、地域に密着した店でありたいですね。
当店の前を通ると、お米の炊いた匂いがして、つい立ち寄ったりですとか、
いつまでも、地域の方に和んで親しんでいただける、アットホームな店でありたいですね。
---板橋区民の方々へ、
一言メッセージをお願いします!
当店は、ほとんど家族だけでやっております。
前が中山道ですので、通りかかった時に、
大福の1個でも、お団子の1個でも、
どうぞお気軽に買って行って、
是非、ご賞味されてみて下さいね。
---ありがとうございました!