○最初に、お店の開店までの経緯やエピソードなどをお聞かせください
この店を開いて、11月で丸3年になるのですが、
2002年に、商店街から一本路地を入ったところに、
お店(パティスリー・モンマルト)をリニューアルオープンして、
仕事の内容も充実してきたら、
もう少し展開できないかな〜、もう一軒出そうかと考えていた時期に、
縁あってうまく話が乗ってきたと言うか、
うまくタイミングがあった。と言うことですかね。
ここはもともと、豊かな緑に囲まれた古民家でした。
以前は、このあたりはお店が少なく、夜は人通りも少なく暗かったんですけどね。
○その民家を改装されたそうですが、店内を見ているとそのように見えません。かなりの部分をいじったんじゃないですか?
いや、そうでもないんですよ。
カフェ部分を増築しただけで、奥の部分はもともとある部屋の壁を無くしたぐらいで、
築40年近く立っていた物件ですが、保存状態が良かったのと、
前に住んでいた方が、大事に住まわれていたので、
そのまま使える部分はそのまま使っています。
もちろん床などはフローリングにしましたけど、柱など基本的なところはそのままです。
今考えると、よくできたなと思います。
最初からあった、樹木とか庭はそのまま使っています。
非日常といいますか、家ではすごせない時間をすごしていただきたいと言う思いがあって、
樹木や緑などは多く残しています。
都内では、庭があってゆったりとした空間があって、お茶が出来る店はなかなかないじゃないですか。
○駅から近くて、このような落ち着ける空間のある店はなかなかないですね。
弟さんと一緒にやられているようですが?
弟はパン職人なんですよ。以前は中板橋でお店を出していたんですが、この店を出すために、中板橋のブーランジェリーは閉めてもらいました。
資金面のこととか、パンも有ったほうが幅広いお客様に来ていただけるんじゃないかということで、一緒に始めました。
将来は、お互いに自分の道を進みたいと思っています。
○それで、お店に入ると、パンのいい香りと、ケーキの甘い香りがするんですね。
商品へのこだわりや思い入れなどお聞かせください。
四季(季節の遷り変わり)を常に感じて、
それをお菓子に反映させていくようにしています。
夏と冬で、同じお菓子でも中の仕込み方を変えたり、
微妙な塩梅なんですけど、それを体で感じて仕事に反映させています。
当然、素材なんかも季節のもの、旬の物を取り入れていくようにしています。
目で楽しんでもらって、食べて喜んでもらうということを心がけて、
自分が食べたいなとか、思ったり感じたりしたことを、取り入れています。
日本ではあまり言わないですけど、
ヨーロッパで菓子職人は芸術職人と言われているんです。
それほど感性とか感覚とかいうものが大切なんです。
あと、お客さん主体で考えるのか、自己満足となってしまうのか、
そのへんの微妙なバランスですかね。
100%お客さんを受け入れてしまうと、受身になって魅力的にも欠けてしまうので・・・・
○洋菓子の道に入られたきっかけというのは?
父親が洋菓子を作っていて、親の背中を見て育ったわけです。
体の中にその血が流れているのでしょう。
自然にその道に進んでいました。
子どもの頃はケーキ屋が少なかったので、
高島平や下赤塚・成増のほうからもお客様が買いに来ていました。
ものすごいお客様の数で、必然的に店の手伝いをやらされてました。
クリスマスの時期になると忙しすぎて毎日手伝いでした。
○お客様はどのような方が多いですか?
やはり子連れの方、ファミリー層の方が、60%ぐらいで一番多いですね。
カフェではランチメニューをやっているので、
休みの日には家族で食事をしていく方が多いですね。
リピーターの方が多いのも嬉しいですね。
父親の代からのお客様で、もう40代ぐらいになられ、お子さんがいるんです。
そして、その子の子どもも、うちのお菓子を食べて育ってくれると嬉しいですね。
○お父さんの味を守っていると言いますか、受け継いでいるわけですね?
そう、見てくれとかはぜんぜん違うんだけど、
精神的なもの基本的なものは変わっていません。
一緒だと思います。
○お菓子教室もやられていると聞きましたが・・・・
お菓子教室は毎月やっています。
早いものでもう40数回になります。
父の店の頃からやっています。
人数が限られていますのですぐいっぱいになってしまいます。
少しでも、お菓子作りの楽しさを知っていただければいいですね。
○これからの目標や夢などをお聞かせください。
この店は平屋なので、今後改装して、
お客様に喜んでいただける分野を広くしたいと考えています。
兄弟で協力し合って造ったお店ですが、
お互いのお菓子、パンのアイテムの幅に製造面で、限界があったりするので、
今後は、そのあたりの事も含め、お互いが自立する時期まで、
しっかり協力して頑張っていこうと考えています。
○ありがとうございました。