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HOME >> バックナンバー >>[特集] 高島平再生プロジェクト

高島平再生プロジェクト


団地の空き室(空洞化)、高齢化、建物の老朽化、『空・高・老』の問題をかかえた高島平に、住民と大学が一緒になって問題を解決していこうという『高島平再生プロジェクト』があります。今回は、このプロジェクトがいったいどんなものなのか取材してきました。

バー


大東文化大学環境創造学部教授 山本孝則さんにお話しを伺いました。

○『高島平再生プロジェクト』とはどういうものですか。
かつての「東洋一のマンモス団地」として、1972年に華々しく登場した高島平団地も35年がたった今、高齢化が進み、高齢化率は30%に迫ろうとしているんです。
都内随一の高齢者の団地になってしまい、
高齢化問題では、世界の先頭を切っているのが現状です。
団地の空き室・空き店舗(空洞化)、高齢化、建物の老朽化、『空・高・老』の問題を抱えています。

これは、全国の団地、地域が抱える深刻な問題なんです。

大東文化大学も『大学全入時代』に突入して、生き残りをかけた厳しい競争環境にさらされています。
高島平という同じ地域にがありながら、今までは「ただそこに大学がある」というだけだったと思うんです。
たぶん多くの方がそう思っていると思いますよ。

高島平と大東文化大学の、豊富な人材と物的インフラを有効的に結びつけて、協力体制を作ったら、いろいろな問題に対して明るい展望が開けてくるんじゃないかというところから、
高島平の住民と大学が一緒になって問題を解決していこうということで『高島平再生プロジェクト』が立ち上がりました。
その目的は、“大学・地域連携による、高島平地域の魅力創出と再活性化”です。

○このプロジェクトを始めたきっかけは何だったんですか?
3年ほど前に、「高島平の現状」という勉強会に招かれたのがきっかけです。
高島平がかかえている問題と、大学がかかえている問題は、根っこのところでは一緒じゃないかと気づいたんです。
どうしたら、持続可能な街・持続可能な大学になれるのか?
これが環境創造学部の取り組むべきテーマじゃないかと、そう確信しました。
そこからが始まりです。
2年ほど前から、毎月1回の会議を開いています。
出席者が4〜5人ぐらいのときもありますが、必ず行うようにしています。
だれでも参加できますので、事務局まで連絡いただければと思います。

○再生プロジェクトではどのような取り組みを行っているのですか。
一つに、団地の空き部屋対策。
これは、団地の空き部屋を、大学で借り上げて、学生に住んでもらおうというものです。
大学の留学生と日本の学生のルームシェアリングです。
簡単に言うと、多世代共住・多文化共生です。
そのほかに、団地を中心とした各種交流活動、コミュニティカフェの運営、ミニFM局の開設等を企画しています。

二つ目は、地域通貨“サンク”の普及活動
サンクカードを発行して、ボランティアや地域イベントに参加協力することにより、ポイントがもらえ、それが貯まるとサンク加盟店で使えるという仕組みです。
カードだけではなく、携帯電話でも貯めることができます。
これによって、地域コミュニティ、ボランティア活動、商店等が有機的にリンクしていき、地域の利害を共有して、持続可能な地域社会へなっていく、という考えです。

三つ目は、自然との共生・資源回収活動
高島平地域で資源回収運動をしている団体等との協働を推し進めていき、
回収されたものが容を変えて自分たちの所へ戻ってくるという循環を考えています。
“Made in 高島平”の製品化も視野に入れていますよ。
大学内では学生が主体になって、生協のそばにペットボトル回収BOXやキャップの回収BOX等を設置して、資源回収を行っています。

○今後の展望、抱負などをお聞かせください。
板橋を知らない人でも高島平団地は知っている、という人が結構いるというんです。
高島平団地は、現代日本の縮図でもあるし、それだけ注目されているということです。
でも、高島平の名前を聞くだけでみんなしり込みしてしまうんです。
それが、現状だと思うんです。

今回、文部科学省の「現代的教育ニーズ取組み支援プログラム」の「地域活性化への貢献」地域型部門で採択されました。
テーマは、「持続可能な都市再生」の担い手を求めて〜高島平再生プロジェクトによる「環境創造型人材」育成〜 です。
これにより、資金的援助を得られたので、実行していく段階に入ってきました。
12月ごろには、コミュニティカフェの場所の選定や、FM局の実験放送は始めたいと考えています。

○これでだけのことをやっていこうとすると、人材的に不足しているんじゃないですか?
教育という観点から、講義の一環として課外プログラム等を組み込んで、学生たちに活躍してもらいます。単位の取得も出来るようにしていきます。

文部科学省の支援も3年間ですので、それ以降も持続していかないといけないわけです。
どのようにして持続・継続させていくのかがこれからの問題です。
学生が団地に入って、活動し、支持されて、人の交流が活発化していく、やはりこれが大きい命題ですので、何とか定着させることです。
将来的には、他大学・地域とのジョイントも考えています。

○区民のかたに一言お願いします。
高島平も大東文化大学も必ず良くなります。元気になります。
皆さん高島平を見守っていてください。
高島平が変ると板橋が変る、板橋が変ると東京が変る、東京が変ると日本が変る・・・・・
そんな気概で取り組んでいます。

○ありがとうございました

バー


高島平団地の総戸数は約1万戸。賃貸が約8400戸、分譲は約1400戸で、空き室はおよそ500戸もあるそうです。
実際にはどんな雰囲気の場所なのか、行ってみることにしました。

高島平駅を降りると、目の前に広大な団地が広がります。


駅前は、なかなか賑わっているようですよ。


子供とお母さんが砂場で遊び、それをご老人が眺める。
なかなか絵になる光景ではないですか。


ちょっと中に入ってみると少し寂しい感じ。
でもまぁ、平日の昼間なんてこんなものでしょうか。


敷地内の公園は緑がとてもきれい。管理が行き届いています。


シャッターが閉まったままのお店も目に付きます。


入居者募集中の横断幕が目立っていました。


バー

今回の特集いかがだったでしょうか。

1972年に華々しく登場した高島平団地。
ある意味、日本の団地のシンボルでもあります。

商店の空洞化、住人の高齢化、建物の老朽化の問題は
今後、すべての団地で深刻化していくことでしょう。

大東文化大の山本孝則教授をはじめ、学生のみなさん、地域のみなさんの取り組みによって街が今後どのように変化していくのか。

楽しみでもあり、大変な問題だなぁとも感じました。



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【高島平再生プロジェクト】
http://www.daito.ac.jp/takap/

【問合せ】
a-inoue@ic.daito.ac.jp



※山本孝則教授は、平成21年3月をもって退職しました。

・「高島平再生プロジェクト」から、「みらいネット高島平」へ名称変更しました。
・「コミュニティカフェサンク」も「コミュニティカフェ・グリーン」へ名称変更しました。